木工の工房

工房

木工をするために、十数年前から自宅の近くに工房として建物を借りていました。

建物といってももともとは牛舎で、鉄骨に畜産波板を貼っただけのものでした。畜産波板とは白い塩ビでできた安価でもろい波板です。数年で紫外線でボロボロになり割れ落ちます。

建物を借りたときに、屋根は自腹でガルバリウム鋼板に張り替えました。ところどころ空が見えていたので、張り替えざるを得ませんでした。

予算が尽きたので、壁は穴が開いているところだけを、グラスネット波板で塞ぎました。

しばらくは、そこで木工をしていました。そのうちに壁の修理や、吹き込む雨や結露による機械のサビ落としに追われるようになりました。

そして、くじけてしまいました。

それから10年ほど木工から離れていました。1級技能士までとったのに、なにか生活の足しに作ったら?と、息子にせっつかれる始末です。それでも、10年間、何も作れませんでした。不甲斐ない父をゆるしておくれ…。

それが、また性懲りもなく始めました。やはり、木工が好きなのでしょう。なにか作ってみたくなってきました。

公営の工房

自治体が使わなくなった建物の部屋をいろいろな作家に貸して、ものづくりの促進を始めました。

子供の駅への送迎の朝夕の待ち時間を有効利用するのにちょうどよいと、去年の夏前から借りてみました。

他県出身者や外国人で、ほとんどの部屋が使われていました。

それでも、小さな10畳ほどの部屋を借りることができ、少しずつ木工を始めました。

機械なしでの木工

木工は、はかどりませんでした。

カーテンがなく西日で暑いこと、機械がないこと、部屋が狭いこと、床がカーペットであること、200Vは来ていないこと、子供の受験で忙しいこと、などを言い訳にして、あまり作業をしませんでした。

今年に入ってからも、新型コロナウィルスが怖いこと、を理由に追加して、ほとんど作業をしませんでした。

実際の正直な理由は、機械がないことだけです。

  • 手押しカンナと自動カンナなしでカネを出し厚さを決める気になれない
  • 昇降盤と横切り盤なしで定寸の多数の材を作る気になれない
  • カクノミなしでホゾ穴を掘る気になれない
  • ホゾ取り装置か帯鋸なしで、ホゾを作る気にならない
  • 帯鋸なしで曲線切りや、突き当りが直角な切込みをする気になれない

手でやればよい、との意見もあります。しかし、数秒の加工の繰り返しで、どんどんイメージ通りのモノが出来上がっていく喜びを知った者には、なかなか手加工には戻れません。下手くそなんです、手加工…。

職業訓練校や、勤めていた木工所の機械は、ほんとうに便利ですばらしいものでした。

それでも、ここ一、二ヶ月、少しずつ、また手加工中心で家具作りを始めました。

牛舎から、いくつかサビだらけの小さな機械も持ち込みました。

と、長くなりましたが、これが今回の本題ではありませんでした。

昨日

夕方18時過ぎ、暗くなり始めていたので照明を点け、辻井くんの弾くショパンをBluetoothスピーカーで聴きながら、次の工程を検討していました。

そこへ、はや歩きで誰かが歩く音が、バタバタとやかましく廊下に響きました。

次の瞬間、想像もしていないことが起こりました。

「ガチャッ」

力まかせに、私の部屋のドアノブが引かれたのです。

いつになく、偶然、鍵をかけていたために、ドアが開かれることはありませんでした。

一瞬あぜんとしたあと、怒りがこみ上げました。

「ハイッ?」

私の不機嫌な大きな声です。

「すいませ〜ん」

悪びれない女性の声を残してバタバタと去っていきました。

声の主

しばらく、怒りはおさまりませんでした。

この建物は、玄関を常に施錠するルールになっており、店子が合鍵を持っています。

顧客を作家が案内するときくらいしか、部外者が入ることはありません。

役場の担当者や作家との情報の共有は、なぜかFacebookを使うことになっています。使い方はよくわかりませんが、とりあえず、非常識な珍客の情報を共有し、抗議と注意喚起を促すべきや?と考えたのですが…。

なんか、違和感。「すいませ〜ん」の声に、記憶が…。

いました、いましたよ、思い当たる女性がひとり!

役場の担当者の方です…。

入所の面接のとき、本人の許可もなく、ある作者の部屋の中を見せてくれました。

え〜っ?プライバシーを尊重してもらえないの?お金を出して部屋を借りる店子なのに?

おそらく、法的にはアウトだと思われます。火事などの緊急時以外、大家は店子の部屋に許可なく立ち入れないようです。ウェブサイトの法律相談で確認しました。居住の目的でない部屋は、法が適用されないとかでしょうか。

顔を見たわけではないので、断定はできませんが…。

そうだったとしたら、たったひとりの役場側の担当者なので、関係をこじらせたくはありません。

ドアにガラスが入っていて、音楽もかかっているので、外からでも在室だとわかります。ノックもなしに力まかせに開けようなんて、私の常識の範疇では考えられません。

誰であったとしても、その感覚を疑ってしまいます。

私には共同の工房は、厳しいのかもしれません…。

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